うつ病とは
~脳の疾患であり、同時に「心理構造の疲弊」でもある~
うつ病は、ストレス × 心理構造の脆弱化 × 脳の神経伝達物質の低下
この三つが絡んで発症すると理解されます。
① 心理構造の崩壊
〜「頑張る自分を守ってきた仕組み」が限界を迎える〜
心理学では、うつ病の背景には 防衛機制が破綻するプロセス が見られます。
◆ 初期:高い理想自己とパフォーマンス主義
・理想自己(Ideal self)
・現実自己(Real self)
この ギャップが大きいほど、自己評価が脆弱になります(自己不一致理論)。
「こうあるべきの自分」 ≠ 「今の自分」
この差が苦しみを生む。
◆ 中期:防衛機制が働きすぎる
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防衛機制 |
行動例 |
心理影響 |
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抑圧(repression) |
本音や疲れに気づかない |
心のエネルギーを消耗 |
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否認(denial) |
「まだ大丈夫」 |
症状を悪化させる |
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合理化(rationalization) |
「私が頑張ればいい」 |
不満や苦痛が見えなくなる |
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知性化(intellectualization) |
感情より思考で処理 |
感情の鈍麻 |
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同一化(identification) |
周囲の期待に染まる |
自分を見失う |
これらは悪いものではありません。 ただし、使い続けることで 感情が凍結される ことがあります。
→ その結果、アレキシサイミア(感情認識困難)が起こり、 「自分が何を感じているか分からない」状態になります。
◆ 末期:心理的エネルギーの枯渇
現代心理学では ego depletion(自我疲弊) と呼ばれます。
「もう頑張れない」のではなく、心の燃料が尽きている。
これは 脳の問題であり、意志の問題ではありません。
② 認知の変化
~“考え方そのもの” が変化する~
うつ病では、心理療法(認知行動療法)で用いる概念が深く関係します。
◆ スキーマ(Core schema:根本的信念)
人生初期の体験から形成されます。
例)
・「愛されるには頑張り続けないといけない」
・「人に迷惑をかけてはいけない」
→ このスキーマが 自動思考(automatic thoughts) を生みます。
◆ 認知の歪み(Cognitive distortion)
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認知の歪み |
内容 |
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全か無か思考 |
完璧でなければ価値がない |
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破局化 |
少しのミスで「終わりだ」 |
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自己関連づけ |
何もかも自分のせい |
➡ 思考が「病気」によって歪んでいるだけ
③ 学習性無力感
~「どうせ無理」が固定化されていく~
心理学者セリグマンの有名な概念。
1. 頑張る
2.うまくいかない
3.「努力しても無駄」と学習する
4.行動しなくなる(無力化)
「動けない」 のではなく、“動けなくなるように脳が変化した”
④ アタッチメント(愛着)と脳
愛着理論では、乳幼児期に形成される 内的作業モデル(Internal working model) が、
・人との距離感
・失敗への耐性
・依存 / 自立のバランス
に影響します。
不安型 / 回避型の愛着傾向が強い場合:
不安 → 過剰適応 → 疲弊 → 崩壊 → うつ病
というプロセスを辿りやすいことがわかっています。
まとめ
うつ病は...
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医学的 |
心理学的 |
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|
発症の原因 |
神経伝達物質の低下 |
心理構造の疲弊・自己不一致 |
|
症状 |
意欲低下・抑うつ・不眠 |
認知の歪み・学習性無力感 |
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必要な治療 |
薬物療法+休息 |
心理療法+感情への気づき |
院長より
うつ病は「心が弱い」のではなく、心が働きすぎた結果です。休むことは、治療です。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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